倉本産業の話

STORY OF KURAMOTO INDUSTRY

CHAPTER 01

倉本産業の歴史

創立は1950年。創業者・倉本馨が広島で倉本産業を興しました。
その当時に扱っていたのは、米国3M社より輸入した反射粘着シート「スコッチライト」という製品で、これを加工して販売していました。その時の主な取引先は東洋工業(現マツダ)で、車の後部・トランク付近に反射シートを貼ることで、後ろからライトを照らされるとマツダの文字が光るという性能が評価されたのでした。

その3年後の1953年、東京で会社を設立しました。
そこでポリエステルフィルムにアルミを真空蒸着させる特許を取得し、その銀色のシートの裏に糊をつけて粘着シートの製造を始めました(当時は工場を持っていなかったため、製造は三菱樹脂さんに依頼しました)

この耐候性に優れたポリエステルフィルムの粘着シートは国内初となるものでしたが、この製品が大きく広まることとなったのは、NHKの放送受信章(各家庭の放送受信契約の有無を確認するための目印)がきっかけでした。昭和30年代の高度成長期に、日本の住宅は木造建築から鉄筋コンクリート建築に変わっていきました。木造住宅には楕円形で銅板製の受信板を釘で玄関先に打ち付けていたのですが、家屋が鉄筋コンクリートでは釘を打つことが出来ません。そこで、同じように銀色で高級感があり耐候性も強く、剥離紙を剥がすだけで手軽に貼れる、銀色のポリエステルフィルムの粘着シートが代替として使用されることとなったのです。

※現在こちらのラベルは使用されておりません。

このNHKの放送受信章は、全国全てに使用されたこともあり相当数を販売しました。これをきっかけとしてラジオ、テレビを始めとする家電製品など、様々な用途に使われ膨大な需要を生み、一時期は生産が追い付かない状況ともなりました。

その後、三菱樹脂さんからコーター設備を譲り受けて埼玉県川越市の工業団地に工場を建設したのを皮切りに、印刷工場である狭山工場、粘着剤・インク・原反製造工場である児玉工場を建設し、本日まで多岐に渡る製品を製造して参りました。

また、前述のポリエステルフィルム以降は塩ビ、ウレタン、水に溶ける水溶紙など、様々な材料を使用した粘着シートを開発。各種の特許を生み出しながら、これまでに3000種を超える製品を開発し、現在では数多くの企業と取引をするまでに至りました。

今後もこの世に今まで存在していなかった新たな商品開発と、顧客の要望への細やかで小回りのきく対応をモットーに進んで参ります。

粘着剤とは

接着の一種で溶接・水・熱などを使用せず「常温で短時間」
指圧程度の「わずかな圧力を加えるだけ」で、「接着」することです。

CHAPTER 02

粘着シートについて

粘着シートの構成

  • 粘着シートの基材には、紙、布、プラスチックフィルム等が使用されます。
  • 粘着剤は、被着体や使用状況、環境によって異なる特性が要求されます。
  • 剥離紙・剥離フィルムは、粘着面を保護し、剥離が容易にできるように処理されています。

【粘着】機能による分類

再剥離タイプ
一定期間後に剥がす用途に適しています。
永久接着タイプ
恒久的に貼付する用途に適しています。
再貼付タイプ
一度剥がしたラベルを再度貼付する用途に適しています。

【粘着】主成分による分類

アクリル系
現在最も一般的に使用されているタイプです。
ゴム系
天然ゴムをベースとしたタイプもあります。
シリコーン系
耐熱のような特殊な用途に使用されています。
CHAPTER 03

粘着ラベルについて

粘着ラベルとは、粘着シートに印刷をし、任意の形状に型抜きしたものです。

粘着ラベルの製造フロー 粘着ラベルの製造フロー

粘着ラベルの製造フロー

CHAPTER 04

粘着シートの試験方法

粘着シートの3物性

基材や測定条件の影響を受けることなく、粘着剤自身の物性を一律に定量化することは困難です。そのため、粘着力、保持力、タックの粘着3物性を用いて、粘着性能を物性評価することが行われています。

粘着力
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粘着力

粘着剤と被着体が貼り合わされた時、どれほどの強さで接着しているかを調べる方法で、JISでは被着体に貼り付けた後、180°方向と90°方向に引き剥がす2つの方法が記載されています。
一般的に引き剥がす力が大きいほど良く接着していると判断できます。

保持力
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保持力

粘着剤は、接着剤と比べ柔らかいのが一般的です。そのため、長時間にわたって一定の荷重をかけ続けると、粘着剤は流動を始めて、徐々に被着体から剥がれていく現象が見られます。この様な、ずれる力に抵抗する力を測定する方法が保持力です。測定は、粘着剤がずれた長さで表しますので、値が小さいほど、ずれ難いことになります。

タック
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タック

粘着剤の最も特徴的な性質である「ベタツキ」の程度を調べる方法で、JISではJ.Dowボールタックと呼ばれる球転法が採用されています。大きさの違う鋼球を、傾斜面(30°)にセットされた粘着剤表面に転がし、停止するか落下するかで評価します。もちろん、大きな鋼球が停止する方がタックも大きいことになります。

ボールNO. 表

ボールNO. ボールの直径 ベタつき感
32 1インチ 強い
14 7/16インチ ↑↓
2 1 / 16インチ 弱い